20世紀後半に入ってから環境問題というのは人類の最大の課題の一つと考えられます。環境に配慮しつつ開発を進めるいわゆる「環境と開発の共存」と言う概念のもと世界は進んでいますが、温暖化の問題を始め困難な課題が多く見られます。

大気汚染を塗料・塗装という観点から見ますと、何と言ってもVOCの削減が最重要課題だと考えられます。欧米各国にはすでに規制がありますが、日本においても改正大気汚染防止法が施行され、大規模固定発生源(工場等)の排出ガス濃度規制と非規制業者への自主的取組みが義務化されています。中でも塗料分野はVOC排出量が大きく厳しい対応が求められています。オゾン層破壊の点では、プラスチックの塗装前処理に用いられていた卜リク口口エタンが使用中止されています。また、地球温暖化の主物質とされる炭酸ガス削減では、日本は京都議定書で温暖化ガス排出量を08年から12年までの五年間で1990年度比6%削減(先進国全体で5・2%)の方針に沿った努力がなされています。塗装工場では塗装工程のエネルギー消費を減らすのがその主たる方法だと考えられます。

土壌や水質汚染の問題も重要です。日本では「廃棄物の処理および清掃に関する法律(廃掃法)」、」「土壌汚染対策法」、「水質汚濁防止法」などの法律があります。塗装に関して言えば、使用された顔料等に由来する重金属の問題がポイントになると思われます。日本では自動車塗装に端を発し、グリーン調達という観点で塗装に重金属を用いないことが進んでいるとされています。欧州では06年からRoHSと呼ばれる電子・電気機器に含まれる特定有害物質の使用禁止、また、07年からELVと呼ばれる新規販売車両への重金属の使用禁止の法律が施行され、塗膜中に鉛、水銀、カドミウム、6価クロムが含まれないことが求められています。国内法のみでなくこうした輸出製品に対する対応も重要になってくるのではないでしょうか。